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鉄道車両 | FT-IRガス毒性試験

樹脂や複合材料が燃焼する際には、有害なガスが人体の健康に影響を与えうるレベルで発生する可能性があるため、安全に利用するためにはこれらのガス発生量を事前に評価することが必要です。特に、鉄道車両、船舶といった避難が容易でない閉鎖空間で使用される分野では、火災の発生時に燃焼ガスが空間内に蓄積しやすく、人命に関わる重大な事態を引き起こす可能性があることから、各業界において厳しい評価基準が設けられております。

鉄道車両に関しては欧州規格EN 45545-2に基づく要求がよく知られており、欧州以外の地域でも同様の要求を課す動きが広がりつつあります。さらに、国際的な標準化を目的としてEN 45545-2をベースとした国際規格ISO 9828-2の策定作業も進行中です。現在、日本国内の鉄道車両に関する規制にはガス毒性試験は採用されておりませんが、将来的にはISO 9828-2の内容を反映して国内規制にもガス毒性試験が取り入れられる可能性が高いため、今後この評価の重要性はますます高まると予想されます。

また船舶においては国際海事機関(IMO) が定める2010 FTP Codeにおいて、EN 45545-2と同様にFT-IRとスモークチャンバーを用いた試験が要求されており、こちらにも対応可能です。

 

<試験規格および対象>

試験規格

対象

EN 17084 Method 1
(旧規格 EN 45545-2 Annex C)

鉄道車両に使用される内装・外装部品のうち、少量使用の材料を除くほとんどの部品が対象となる。

IMO 2010 FTP Code Part 2, Appendix 2

船舶に使用される材料。

1. 露出した塗装面、2. 露出した箔、布、または表面化粧板
3. 隔壁および天井ライニングの表面、4. 内装表面の仕上げ材(塗料、ニス他)、5. 床材、6. 一次甲板床張材

ISO TS 19021

対象を問わず、ISO 5659-2 発煙性試験とFT-IRを組み合わせてガス毒性評価を行う方法を規定。 建築材料等の評価で参照される場合がある。

ISO 19702

FT-IRを用いたガス毒性測定におけるガスのサンプリング方法を定めた規格。上記3つの試験規格(EN 17084等)で 参照されている。

 

<試験方法概要>

試験片をスモークチャンバー内に設置し、コーンヒーターで10分間加熱します。加熱中に発生したガスをスモークチャンバー上部のサンプリングプローブから採取し、FT-IRガス分析システムで毒性成分の濃度を連続的に測定します。EN 45545-2においては、加熱開始4分後 および8分後における各毒性成分の濃度から、ガス全体としての毒性の強さを評価するパラメータであるCITGを算出し、基準値に対する合否を判定します。

・試験片寸法:75 mm × 75 mm (最大厚さ25 mm)
・放射熱流束:25kW/m2 または 50kW/m2

 

お問い合わせ先
担当:林田 拓也
Email:ta-hayashida@chemitox.co.jp
TEL:0551-42-5061