超音波映像法によるパワーデバイスの界面観察
超音波映像法(SAT: Scanning Acoustic Tomography)は、サンプルを超音波探査し、その内部を画像化する方法です。水槽を用い、水中に置かれたサンプルを、探触子(超音波を発信し、反射波を受信・解析するプローブ)の自動操作によって測定します。探触子から発信された超音波は、水中を減衰しながら伝播し、異なる物質の境界面で反射を生じます。特に空気中では100%の反射を示します。反射した超音波を探触子で受信し、受信された反射波の振幅の大小を電位差に変換し、探触子の座標に対して電位差をプロットすることで、モニター上に濃淡およびカラー画像を表示します。X線等の透過画像と違い、内部構造や欠陥の位置、深さ情報の取得に有利であり、特に、密閉された空間における界面の検出能力に優れています。

超音波映像法は、主にパワーデバイスや部品の実装されたプリント配線板などの、接合材の状態確認に利用されます。下図は弊社で設計・製作した、材料評価用パワーデバイス です。パワーデバイスの品質で重要となるのは、チップ下等の各接合界面状態です。各種信頼性試験により、接合材は熱応力によって劣化しやすいものがあります。下図に、パワーサイクル試験前後におけるパワー半導体チップ直下および絶縁基板―放熱板間の接合材を、超音波映像法で透視した事例を示します。試験による半導体チップ接合材の劣化に伴うクラックや剥離が検出できていることが判ります。接合材は、はんだのみならずAgやCuの焼結材(シンタリング材)でも観察が可能です。

このように、超音波映像法を用いて、パワーデバイスや部品の実装されたプリント配線板の内部を透視することで、製品の品質確認や試験前後の故障解析が可能です。製品の形態、評価目的に応じて適切な方法を提案させて頂きます。お気軽にお問合せ下さい。
本ページの内容は令和2年度補正 ものづくり補助金により作成しました。