パワーデバイス・振動・車載機器評価試験

超音波映像法による界面観察・故障解析

超音波映像法によるパワーデバイスの界面観察

超音波映像法(SAT: Scanning Acoustic Tomography)は、サンプルを超音波探査し、その内部を画像化する方法です。水槽を用い、水中に置かれたサンプルを、探触子(超音波を発信し、反射波を受信・解析するプローブ)の自動操作によって測定します。探触子から発信された超音波は、水中を減衰しながら伝播し、異なる物質の境界面で反射を生じます。特に空気中では100%の反射を示します。反射した超音波を探触子で受信し、受信された反射波の振幅の大小を電位差に変換し、探触子の座標に対して電位差をプロットすることで、モニター上に濃淡およびカラー画像を表示します。X線等の透過画像と違い、内部構造や欠陥の位置、深さ情報の取得に有利であり、特に、密閉された空間における空気(空隙)の検出能力に優れています。
超音波映像法の原理
超音波映像法は、パワーデバイスの品質確認に利用されます。下図は弊社で設計・製作した、評価用パワーデバイスです。パワーデバイスの品質で重要となるのは、チップ下等の各接合界面のボイド率となります。チップ接合材の界面にボイドや欠陥が存在すると、パワー半導体チップの放熱を大きく阻害し、製品寿命を縮めます。下図に、パワー半導体チップ直下のチップ接合材を、超音波映像法で透視した事例を示します。接合条件が不適の場合はボイド率28%と不完全な接合界面でしたが、この観察結果を元に接合条件を改善したところ、ボイド率7%の良好な接合界面を得ました。
パワー半導体の接合材の超音波映像
このように、超音波映像法を用いて、パワーデバイスあるいは小型電子部品の内部を透視することで、製品の品質を確認することができます。製品の形態、評価目的に応じて適切な方法を提案させて頂きます。お気軽にお問合せ下さい。