宇宙環境試験事業部より ~ウェットドレスリハーサルのその後~

先日お伝えしたNASAの有人月周回ミッション Artemis II の打上げ前に行われる燃料充填試験(ウェットドレスリハーサル)にて、ロケット上段にヘリウムを供給する系統で流量不具合が確認されました。これにより機体は発射台から組立棟へ一時的に戻され、原因調査と修理が進められています。

このような事例は、大型宇宙ミッションにおいてわずかな機械的・流体系の問題が打上げスケジュールに大きく影響することを示しています。

宇宙機システムの信頼性を確保するためには、地上での環境再現試験が不可欠です。ケミトックスが携わる低温減圧試験では、高高度環境を模擬した低温か低圧環境を再現し、材料や機器が熱収縮・膨張や気密性変化にどのように応答するかを評価します。特にシール部や接合部は温度変化による変形や応力集中が生じやすく、こうした評価は設計段階での潜在リスクの早期発見につながります。

また、振動試験はロケット打上げ時の機械的負荷を模擬する重要な工程です。離昇時には広帯域の振動エネルギーや高G加速度が発生し、機器内部の電子部品や構造支持部に複雑な応力が作用します。周波数応答解析により共振の可能性や固有振動数を把握することで、構造設計の最適化と耐久性向上が図られます。

宇宙開発のニュースではロケットやミッションそのものに注目が集まりがちですが、その成功はこうした地上試験による地道な信頼性評価の積み重ねによって支えられています。低温減圧試験振動試験を通じ、宇宙環境での挙動を定量的に把握することが、今後の安全で持続的な宇宙利用の基盤となると考えています。

2026年 3月 6日

Artemis-II
credit:NASA
 
 

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