プラスチック・PWB評価試験

SDGs実現のためのリグラインド材料・リサイクル材料の要求と認定に関するアドバイザリーサービス

UL規格のリグラインド・リサイクル材料の各種特性試験、認定申請サービスを行っています

リグラインド材料(UL746A):成形工程内で発生する端材、廃材の有効利用

プラスチック成形の工程ではスプルーやランナー以外にも、試し打ち品、不合格品などが発生しますが、それらは粉砕して再利用することができます。 このように成形工程で出たスクラップなどを粉砕した材料をリグラインド材料と呼びます。リグラインド材料の利用は廃棄物の削減、資源の有効利用など、環境への配慮の観点からも非常に注目されていますが、リグラインド材料は成形による熱履歴などにより、バージン材料(新品の材料)と比較して各種特性が低下する場合があります。

高分子材料の特性評価について規定しているUL746Aではリグラインド材料の混合割合が25%を超える場合、下記の試験を用いてバージン材料との比較を行って認定しています。 コネクタなどの精密部品の材料として使用されるPBT、LCP、ポリアミド(PA) などで、リグラインド材のUL認定取得をユーザーから求められるケースが多いようですが、ABSなどの汎用プラスチックでも認定を取得しているケースも見られます。

リグラインド材料

UL 746Aに基づくリグラインド材の評価項目
試験項目
合格判定基準
燃焼性 バージン材と同一燃焼クラス
機械特性
引張強さ又は曲げ強さ
バージン材の結果に対して±15%
衝撃特性
引張衝撃、シャルピー衝撃、又はアイゾッド衝撃
バージン材の結果に対して±15%
発火性試験
グローワイヤーイグニッション(GWIT)、
又はホットワイヤーイグニッション(HWI)
いずれもバージン材の結果に対して
GWIT:±25℃(900℃未満)/±30℃(900℃~960℃)
HWI:平均発火時間の±30%
耐候性(UV照射及び水曝露) UL746Cの判定基準に準ずる。
リグラインド材料の物性はバージン材料の組成や添加剤、混合比率により変化します。 品質管理上リグラインド材料の混合比率などを決定する際は、物性がどの程度維持されているかを事前に把握することが重要です。
弊社子会社である(株)京浜ケミトックスでは、材料のリグラインド処理、試験片成形も可能であり、ワンストップかつ時間的効率よくリグラインド材料の評価が可能です。また、UL認定の申請代行や、UL Data Acceptance Program(DAP)に基づいた正式認定取得のための試験実施も可能です。
材料受領
(京浜ケミトックス)
・ランナー、スプルー
・試作品、不合格品
試験片製作
(京浜ケミトックス)
・ISO、IEC、ASTMなど、各種試験規格に対応
各種試験
(ケミトックス)
・燃焼試験、機械特性試験、電気特性試験など
・ID試験(IR、TGA、DSC)
UL認定
(ケミトックス)
・UL申請から認定


リサイクル材料{UL746S(旧UL746D)}廃プラスチックの有効利用として注目されるリサイクル材料

 
一度市場に出荷されたプラスチック製品を回収して、新たにプラスチック材料として使用する場合、リサイクル材料として扱われます。 サステナブルな高分子材料の評価について規定している新規格UL746S(2023年8月30日に第1版発行)(※1)では、リサイクル材料(メカニカル・リサイクル・プラスチック※2)に関して、バッチ間のID(IR、TGAおよびDSC)が一致しているかどうかによって異なる評価プログラムが課されています。また、認定取得後は、通常のフォローアップサービス(FUS)への対応に加えて、製造工場ごとにQAプログラムに基づく定期的な物性確認を行い、その記録を保管することが求められます。
PC/ABS、ABS、PS、PETなどの材料を中心に、多くのグレードがリサイクル材(メカニカル・リサイクル・プラスチック)としてUL認定を受けています。
 
UL 746S バッチ(※3)間でIDが一致する場合の評価項目
試験項目 試験サンプル
バッチ数
合格基準
ID(IR、TGAおよびDSC) 3バッチ バッチ間でデータ一致 (UL 746Aの基準に基づく)
燃焼性 3バッチ(※4) バッチ間で同一燃焼クラス
その他特性(任意) 1バッチ なし(試験結果に応じて登録)
UL 746S バッチ間でIDが一致しない場合の評価項目
試験項目 試験サンプル
バッチ数
合格基準
IR 1バッチ なし(一般材料名同定を目的として測定)
燃焼性 5バッチ(※4) バッチ間で同一燃焼クラス
機械特性
引張強さ
5バッチ 全バッチで平均値±15%
衝撃特性
引張衝撃、シャルピー衝撃、又はアイゾッド衝撃
5バッチ 全バッチで顧客指定の最小値以上
絶縁破壊特性 5バッチ 全バッチで5kV/mm以上
ホットワイヤーイグニッション(HWI)、
又はグローワイヤー発火性(GWIT)
5バッチ 全バッチで顧客指定の最小値以上
荷重たわみ温度(HDT)
又はビカット軟化点(VT)
又はボールプレッシャー温度(BP)
5バッチ 全バッチで平均値±10%
その他短期特性(任意) 3バッチ なし(試験結果に応じて登録)
耐候性(UV照射及び水曝露)
(任意)
1バッチ UL 746Cに準ずる
長期耐熱性(LTTA) (任意) 1バッチ UL746Bに準ずる

※1:UL746Sが発行される前は高分子材料の加工部品について規定しているUL746Dにおいてリサイクル材料の評価についても規定されていた。
※2:メカニカル・リサイクル・プラスチック:機械的なリサイクル処理を施したプラスチックのこと。これに対し重合開始成分として化学的または熱的に分解したプラスチックを利用するプロセスのことをケミカル・リサイクル・プラスチックと言う。
※3:バッチ:生産ロットのこと。 UL746Sではバッチと表現される。
※4:リサイクル材のベースカラーに対して着色剤を添加する場合、着色サンプルについては1バッチを試験する。

リサイクル材料は回収後の選別、洗浄、異物除去など、リグラインド材料と比較して安定した品質を維持することが難しくなります。 しかしながら、廃プラスチックの削減に大きく貢献し、持続可能な社会の実現に向けた重要なファクターでもあります。また昨今では、機械的なリサイクルに加え、回収材をモノマーレベルまで還元した上で再利用するケミカルリサイクルの議論も活発化しており、今後ますますプラスチックのリサイクルに対する注目が高まるものと考えられます。

ケミトックスでは、UL認定に関連する燃焼性試験、ID試験、各種機械特性試験、電気特性試験、熱変形試験、MFRなど様々な試験の実施に加え、数々のUL申請の経験を活かし、QAプログラム構築のためのアドバイスなども可能です。さらに、リサイクル材に関する新たな規格、認定の動向について積極的な情報収集を行っており、セミナーやウェビナーなどのかたちでお客様に配信しております。試験評価とアドバイザリーサービスの両面でお客様の品質管理をサポートします。

お問い合わせ先
担当:堀水 真
TEL:0551-42-5061